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5秒前の午後-50

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-9/3


8月の残業代の申請が締め切りで、

前夜に提出済みだった。


朝、課長に呼ばれる。


「31日のこれ、何だ?」と訊かれ、

素直にやれと言われたからと答えた。


「俺は残れなんて言ってない」だの、

「手伝うって言ったんだから」だの、

結局は削れって意味だろうと思って

取り下げますと言ったら、それがまた

気に食わなかったのか「そうじゃねえだろ」

と更に叱られる羽目になった。


結局残業代は一銭も出なかった。


手伝う気もなく、締め切りも明示できない

中間管理職に残業代の請求さえ叶わない。


悔しくて頭に血が上ってしまい、

心拍数が上がって目の前が霞む。


どうにもならなくなったのでトイレに逃げ

座って下を向いた途端に鼻血が出た。


小さい頃から鼻血なんか出さなかったから

自分でもビックリしてしまった。


夕方までずっと口の中で血の味がした。


帰って何も考えられなくなるまで飲んで

電気も消さず着替えずシャワーも浴びず

落ちた。


-9/4


早く上がれるも出掛ける気も起きない。


部屋でまったりしていると相方も帰宅。


「しよう」と誘うとやっぱり断られた。


-9/5


母の田舎へ祭りを見に行くので

珍しく相方より早く起床した。


支度をしていると寝起きの相方が

こちらを見てむにゃむにゃと言う。


「あれ?細谷さん、何してん・・」


残念だけどわたしの苗字はホソヤじゃない。


凍る空気に気付いたのかハッとした

気配になるも、なかなか言葉が出ない。


「何だっけ・・」


・・。


「いや、何だっけって・・」


一人でぶつぶつと言っている。


わたしは一言も発さないまま出掛けた。

折角の旅だから、忘れてしまおう。


実家で母と弟と合流し、高速に乗る。


真夏のような青空と背の高い積雲、

輝ける山の緑と焼けるアスファルト。


3人で交代しながら飛ばしていく。


明るいうちに母の実家に着くが、

商家なので誰も居ない。


近くのお宮様にお参りして、屋台を

冷やかしながら歩く。


辻で山車が煽り合いをしていた。


夜になって店が閉まると人が集まる。

祖父母に伯父夫婦、従妹とその彼氏、

従兄とその同僚、叔父一家と自分たち。


いつもは広いばかりの茶の間が

この時は狭く感じた。


ビールに始まり、焼酎や日本酒、ワイン、

休むことなくお酒が出てくる。

一通り談笑していると、山車の煽り合いの

時間になった。


さほど大きくない町で5の山車が出て、

その全てが1つの交差点に集まる。


道は人で溢れ返っていた。

ブロック塀によじ登り、場所を確保。


贔屓目に見ても、従妹の乗ったやつが

一番格好良かったと思う。

田舎の祭りは生命力に溢れていて

見ていると圧倒される。

こういう伝統が続けばいいと願った。


部屋に戻って飲み直し、夜更けと共に

三々五々引き上げていった。


-9/6


祭りの最終日とあって、屋台も殆ど

居なくなってしまっていた。


昼にお暇させてもらい土産物屋で

地酒を買って帰途に着く。


渋滞に巻き込まれ、帰る頃には

すっかり遅くなってしまっていた。


実家で夕飯をもらって部屋に戻る。


相方は相変わらずDSをやっていた。


疲れていたので早々に横になる。


疲労のせいばかりじゃなく、

セックスする気にはならなかった。

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