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5秒前の午後-14

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-6/12


昼に相方からメール。


「バスとったぜ」


週末、相方が珍しく2連休なので

旅行に行こうという話になっていた。


金曜の夜に夜行バスで出発、

土曜の朝に着いて適当に泊まり、

日曜の夜に新幹線で帰る計画。


天気が良さそうなのと

相方に土地勘があるので、

行き先は大阪になった。


浮かれて定時に脱出して買い物へ。

落ち着かないまま部屋で待っていると

相方が帰ってきて、一緒に部屋を出る。


東京駅丸ノ内口側のバス待合所は、

旅行鞄を抱えた人で溢れかえっていた。


指定された時間に集合する。


と、相方の名前が予約表にないらしい。

数秒の沈黙の後、相方は係員に何かを告げ

私の肩を抱いて足早にその場を去った。


相方:「・・今日、何日?」

自分:「12だよ」

相方:「まぁそういうこともあるさ」


相方の手にある支払いの控えには、

『13日 22:20発』と書かれていた。


相方は見たこともないくらい

全身に大汗をかいている。


「何をバタバタしてたんだろうね」

と笑って部屋の最寄り駅まで戻り、

改めて夕飯を摂った。


初めて入る昔ながらの寿司屋は

日付も変わろうというのに混みあっていた。


オーダーと乾杯をを済ませ、一服し、

やっと相方は落ち着いてきたようだった。


雑談。

次週末の話になって、自分は父の日だし

実家に行ってくるつもりだと話した。


「俺には?」


茶化して言う相方を横目に

自分は黙って鞄を開け、

ソメスサドルの包みを差し出した。


相方:「う、お、ありがと」

自分:「明日の夜に旅先で

    渡すつもりだったんだけどね」


軽く飲んで帰り、当然のようにセックスした。


最中に相方から「ごめん」と謝られた。

開き直ったような態度に

苛立ちを感じていた自分が

とても恥ずかしくなった。


「任せっきりにしてごめん、ありがとう」


-6/13


特に用事もなかったので、ダラダラと過ごした。

昼まで寝てセックスして久々に長風呂。


支度をしながら相方は鞄を開き、

昨夜渡した包みを引っ張りだした。


相方:「開けていい?」

自分:「どうぞ」


リボンを外し包装紙を解き、

丁寧にテープを切って箱を開いた。


相方:「・・ブックカバー?」

自分:「うん」


相方:「ありがとう!

    密かに欲しかったんだ!」


真意かどうかはどうでもいい。

いそいそと読みかけの文庫に

カバーをかける相方の姿を見て、

ただ嬉しかった。


夜、出発。


直前の予約にも拘らず、座席は隣だった。

相方のiPod shuffleに分配ジャックを挿す。

自分用のイヤホンも勿論昨夜買ったもの。


新宿で更に客を拾い出発すると消灯された。

相方の手が私の手を取る。


おやすみ、と頬にキスされた。


夜行バスでは殆ど眠れなかった。

慣れないせいか、昼間寝すぎたからか、

高揚するテンションのせいかは分からない。


-6/14


早朝から梅田は暑かった。

人通りは少ない。


まだどこも開いていないのでネットカフェへ。

るるぶや口コミサイトなどを見ながら

大雑把に一日の行動計画を練る。


身支度を整え、駅に戻り環状線に乗った。


始めに大阪天満宮へ。

身内に試験を控えた人間が居るので、

お参りをしてお守りを買った。


境内をぐるりと散歩、次の目的地は大阪城。


天守閣に上り展望を堪能、城内展示を見学。

下まで降りて自分は粟おこしソフト、

相方はスーパードライで体を冷やして

心斎橋へと移動した。


グリコの看板や道頓堀、ドンキを見る。

相方の記憶を頼りにたこ焼きを買って食べる。


串揚げは衣が細かくて美味しかった。

何故か赤井秀和が店内を歩いていた。

相方は飲みすぎてグダグダになっていた。


白いたい焼きを買って食べる。

自分の胃は底なしかと疑った。


次は通天閣へ。

30分待ちの表示に入場は諦め、

下から見て引き返した。


戻り際に寂れたゲームセンターで

くっつきながらプリクラを撮った。

操作に戸惑う相方が可笑しい。


心斎橋に戻って散策。

偶々本屋で好きな作家の展示が

やっていたので涼みがてら見学。


一日中歩いたせいで相方の腰が痛み出す。

消炎剤を探すも売っていない。

自分も手術の跡が攣ってきたので

無理に歩き回るのを止めた。


カフェに入り、コーヒーを飲んで休憩。

梅田へ。


HEPの観覧車は営業中止だったので

ジョイポリスで時間を潰す。

1つだけゲームをやったのだけど、

あまりにも下手でバカにされた。

だけど楽しくて私はずっと笑っていた。


商店街のゲームセンター前を通ったときに

アルパカのぬいぐるみが歩いていた。

「あれ欲しいんだよねー」と言うと、

相方は張り切って取ってくれた。


なんだか本当に普通のカップルみたいだ。


夕飯は居酒屋に入って軽く飲み、

少し時間に余裕をもって新大阪に移動。


新幹線ではまたiPodを共有して、寝た。


終電ギリギリで地下鉄に飛び乗って、

部屋に帰り眠いのを我慢してシャワー。

薬を塗ってもらって、ベッドに横になった。


楽しかった、ありがとう、と

何度お礼を言っても言い足りなかった。


相方の肩に額をつけ、目を瞑る。

一日を反芻して、目頭が熱くなった。

と、相方は私の手を取る。

固いものが触れた。


自分:「今じわっと来てたとこなんだけど」

相方:「俺はにょきっと来た」


・・。


「だってさ、__はしゃいでて可愛いし」

「一日中手を繋いでたんだよ?」

「プリクラ撮ってる辺りからやばかった」

「__と居ると本当に楽しいよ」

「やっとただのセフレじゃなくなった気がする」

「いっぱい思い出作ろうね」

「大好きだよ」


外に居ると貶すばかりで厳しく

最中にしか甘いことを言わない相方は、

所謂ツンデレなのだろうと思った。


「遅くにごめんね」


疲れていても翌日が仕事でも

お互いが欲しいのは、同じだった。

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