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5秒前の午後-11

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2月よりオンラインでやり取りのあった人と

初めて会うことになり飲みに行った。


35歳/既婚者/会社員。

男性には珍しく写真の方が良かった。


開口一番「可愛いー」と言われて違和感。


謙遜でもなんでもなく、どう見ても

可愛いと言える顔面じゃないのは

自分が一番よく分かっている。


自分に対して可愛いと形容してくるのは

遊び慣れていない、または女なら誰でもいい

という2つのパターンに限定される。


昨夜の相手は前者だったらしい。


小さな個室に通され、普通に飲みながら食事。

仕事の話やお互いのオンラインでの印象を

話し、少しずつ打ち解けていく。


その間にも「菊川怜に似ている」とか言われる。

※断じて似てない。


3杯目を飲み終わりグラスを置いたときに、

「キスしてもいい?」と聞かれた。

自分がビッチなのは知られているし、

今更カマトトぶって拒否する理由もなかった。


同じアーティストが好きなのを話していたので

カラオケに移動することになった。

駅前の販促チラシを受け取り昭和通りを越える。


好きだというだけあってそのアーティストの歌は

一通りそつなく歌いこなしていた。


ふと曲が途切れ今度は問答無用でキスされた。

腰を抱えて立たされ、壁に押し付けられる。

胸や内腿に指が這い相手の意図を感じる。


断った。


相手も意外そうだったし自分も意外だった。

過去の自分なら迷わずカラオケを出て

山手線に飛び乗って鶯谷を目指したろうに。


また会えるかと聞かれ曖昧な返事をしたまま

それぞれの帰途についた。


相方は会社の飲み会だとかで自分より遅く、

焼肉の匂いを漂わせながら帰ってきた。


かなり酔ってご機嫌になっている相方は、

俺の釣竿見ろって言ってるおじさんが居ただとか

向かいのマンションのお姉さんが下着姿だったとか

ベッドに横になる自分に覆いかぶさりながら

半分回らない呂律で楽しそうに話していた。


「パンツ脱いで待っててくれると思ったのにー」

と、冗談でも求めているという言葉は嬉しい。


自分:「でも眠いよ」

相方:「俺の連続記録を途絶えさせる気か!」

自分:「記録のために毎日してたの?」

相方:「いや俺も案外性欲強いんだよ」


じゃあ人のことばっか言うなよなあと思った。


薬は塗ってもらったけど、しないで寝てしまった。


一瞬だけ後頭部に燻った靄々とした感覚が

罪悪感なのか眠気なのか、判別する前に、

落ちた。

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